天井を大ばらしした床の間は四隅の通し柱を残してガランドウの吹き抜けとなり、柱と梁が剥き出しになった姿はかつて上棟時を髣髴とさせます。
建具を亡くした日本間は大きな空間に戻り、内外の仕切りも失った姿には廃墟の永遠性を感じます。
リフォームによって引き継がれる蔵と、再生される床の間と、解体される母屋と。
変わらないモノと更新されるモノ。
暫く廃墟の中で雨の音を聞いていました。
床と蔵には日本人の精神生活の象徴があるのだろうと思いました。
新築住宅の場合、畳間を設ける事も少なくなりましたが、その和室でも床よりも押入れなどの実用が優先される昨今。
古い民家を再生するときに初めて大切なものが見えるのかもしれません。