奥出雲町で解体古材を使いながら進めている新築住宅の加工に立ち合いました。
玄関の上り框には、既設栗柱から適当なものを選んで転用!と安易に考えていましたが、框幅1940に対して和室内法高さ1760ではどうしても剥ぎ木となり、適当なものが見つかりません。剥ぎ木か!と諦めかけた時に2面化粧の栗柱を発見!すぐに施主さんへ画像転送、快諾を得ました。
縁桁は不朽していた端部を落とし、転用材を内外入れ替えて使うことに。やはり大工さんとの打ち合わせは必須です、木の事は大工に聴け!ですね。いろいろな考え方に触れて勉強になります!
明治期の建物ですが、大黒柱に四方差しとなる差し鴨居の竿と小臍の仕口が巧妙すぎて息を呑みました。左右の小臍の寸法を全箇所変えて、ここにしか嵌らない仕口となっています。間違えて組むことを避けるためですが、まるで鍵です!
見事な一対の仕口ですが、柱の中に隠れます。見えないところに精を出すのも、職人的です!学ぶものがあります!
真上から見るとこんな感じ↓
職人が時間を惜しまずに精魂込めて成した仕事に信仰のようなものを感じます。ゆったりとした時間が流れていた時代に思いをはせるのは気持ちのいいものです。
寺院の虹梁の獅子頭やロマネスクの柱頭などの彫刻を見ると、職人が一途に打ち込んだ幸せな時間を感じます。自分は技術の高さに目を見張ることより、そのような時代に思いをはせることの方が好きです。
この仕口は豊かな時代にタイプスリップするツールとして、引き取ることにしました。