私たちの生活環境には街と自然とがあります。街は人々の生活のために設えたものだから利便性と引き換えに世間のわずらわしさも引き受ける事となります。一方自然はヒトの抗えない絶対的な環境であり、厳しさと引き換えに、豊かさ、美しさなどの恩恵もあります。わが身の小ささを思い知るのも大自然に触れた時だったりします。
稗原の家が着工しました。
生活環境として自然の中で暮らす事が求められ、自然と繋がるおおらかな暮らしの器として計画した住宅です。東西に長い敷地形状に合わせた日当たりの良い平屋とし、施工床面積の約半分をテラスや縁側などの屋外や半屋外空間に割いています。
中央の玄関テラスがプライベートとパブリックを分けるセミナーハウスのような空間構成としています。縁側、ワンルーム、土間、深い軒、を型とした住まいであり、かまど、焚き風呂、囲炉裏、薪ストーブと直火4点セットを設えた、自然のリズムで暮らすスローハウスでもあります。
慌ただしい毎日の中にゆっくりとした時間を持ちたいと誰もが思いながらも、目の前の仕事に追われて自分の時間が持てないのは街に住むからかもしれません。自然の中で火を焚く暮らしからは待つ事を学びます。
日々の暮らしに手間をかける事で、自分の時間が取り戻せることを街の人達は知らないのでしょうね・・・
縁側は耐久性を考慮してコンクリート造としています。1500のキャンテなので、配筋もそれなりに見事です!