親しかった友人が亡くなった。
自分がモノつくりを始める原点ともなった人。
器用な人だったが変人だった。
昔、
仕事を終えた深夜、
家に帰るといつも我が家に居た。
彼の話は疲れた自分の子守歌でとなり、寝落ちした自分は何時も途中で床に就いた。
翌朝起きるとかみさんとの会議は続いていて互いに笑った。
うちのかみさんも結構辛抱強いのだ。
島根自然の学校を主宰し、ラディカルな自然体験を子供達と共に楽しんだ人。
我が家の小学生たちも好んで参加し、今でも忘れられない体験になっている。
登山家でもあった彼は本当の自然を子供達や自分たちに伝えようとしていた。
そしてモノつくり。
スプーン、ナイフ、・・・彼の作り出すものはどれも本当に美しかった。
素材と加工方法、形の本質に好く精通し、器用であった。
よく本を読み勉強していた。
貧乏を友としながらも、きちんと自分らしく懸命に生きた人だった。
自分が椅子つくりを始め、セルフで自宅を改修し始めたのもその頃で
彼なしには現在の自分はなかったのかも知れない。
自然の学校は組織から外れた自由な人達の溜り場だった。
キャンプやサロンなどで家族ぐるみのお付き合いが深まり、沢山の友人を得た。
影響力の強い人とは学力の高さではなく、手先の器用さかもしれない。
モノは買うより作ることに喜びがある事を知ったのは彼からだったのかもしれない。
ホトトギス、ツワブキ、センリョウ、
秋の草花と、伊藤若美さんの椿。
冬を生き抜く赤が力強い。
やりたい事とやらなければならないことのバランスを少し移して、
自分の時間を懸命に生きたいと思う。