仁多郡奥出雲町で古民家再生に着手しました。母屋と中庭をはさんで蔵があります。母屋は一旦解体して新しい住まいの中に組み入れ、蔵は既設のままリフォームします。よって、蔵の位置、階高、棟の高さ、瓦の色、これらが基準となり全体計画を行いました。

蔵の棟木には明治参拾弐年五月建立の墨書があり、115年前ぶりに改修されることとなりましたが、これも当時としても想定内のハズです!・・・古民家は本来移築や修繕を前提に切り時や材料、納まりが考えられていますから・・・。
モノが運び出されて空っぽになった蔵は一層雄弁に語り始めたように感じました。
建立の日の晴れやかな宴、
ここで育まれてきた暮らしや日々の営み、
父、母の想い、
祖母、祖父の想いや願い、
子供達の日常、
空き家となるまでの100年のこの国や町、家族の変遷、
過去と向き合うとき、そこに物語があることを感じます。単に建物を時代に合わせてリフォームするだけでなく、面倒なことや不便なことも共に敬意を払って引き継ぐコトが求められるように想います。

右の蔵はキッチンと寝室にリフォーム。左が車庫棟。積雪1.5mなので屋根が不可欠です。
中央が広間。南庭に面した明るくて風通しのいい伸びやかな空間となります。車庫棟とは土縁で繋がります。

道路に面するファサード。玄関の左に縁側と床の間が続きます。右手は車庫棟。奥が蔵です。

床の間は杉の漆仕上げです。とこ廻り、書院、造作材は丁寧に取り外して再生する計画です。漆仕上げの天井板は大バラシでそのまま再生したいのですが、うまくいくかどうか・・・?難題も山積みです!
乞うご期待!!