平成27年しまね建築住宅コンクール
一昨年奥出雲町で設計監理させて頂いた「土縁の家」が平成27年しまね建築住宅コンクールの優秀賞を頂きました。
明治期町屋の蔵を残して母屋を解体し、新築住宅の中に床の間を再生しながら新しい居住空間を造った住宅です。
以下のような講評を頂きました。
玄関の格子戸をくぐると、正面の障子戸の欄間越しにリビングの天井空間をかいまみることができ、心を躍らせます。
玄関脇の和室と敷地の奥に位置する蔵は、この地にあった建物を生かし再生されています。床の間や漆塗りの書院などに明治の仕事が引き継がれています。
あっと声を上げそうになるのは、再生された蔵の外壁であった部分が、リビングに向けて屋内空間となっている事でしょう。心地よい吹き抜けと美しい小屋組みを惜しみなく見せたリビングには、この建物の最大の特徴である土縁が建物正面のガレージから続いていて、そこは縁側であったり、通り道であったり、サンルームであったり、時には屋外空間にもなりながら、リビングと外部の関係を調整する役割を担っています。
リビングの奥側に位置する蔵は、リビングから一段上がって、その1階はキッチンとダイニングになっています。整列した柱、天井となる床梁はリズミカルに連続して、蔵で暮らす楽しみを余すことなく伝えてくれます。
蔵の2階は畳敷きの寝室で、大らかで居心地の良い空間となっていて、いつまででもそこに居たくなるよう。窓からは吹き抜け越しにリビングを見下ろすこともできます。
丁寧に再生され引き継がれる部分と、新しく造りだされた部分が躍動感を持って空間を構成し、ここでの暮らしが楽しいものであることを見るものにつたえてくれることでしょう。
全体と部分、活用と構成などを細かく見て頂き、嬉しい限りです。
今回の受賞を励みにまた新たな建築にチャレンジしていきたいと思います。
ありがとうございました。