家具職人という職業柄、プレカットでいくのか手刻みに拘るかは思案が尽きませんでした。
最終的にはコストを優先しプレカットとしましたが、真壁納まりのチリじゃくりや、柱落としの蟻加工、桁天の垂木掘りなど、プレカットと手刻みで細かな対応をして頂きました。大山プレカットと森山建築工業さんに感謝です!
昨年の冬に施主の切り出した柱は、47年前に親戚の裏山に植えられた桧の苗木が育ったもの。上棟に駆けつけていらした叔父さんに、製材された柱が無節なのを尋ねると叔父さんが枝打ちされたのだと。柱一本一本には遠い日の想いがある事を知りました。今回施主が叔父さんと共に山の木を切り出したことは、過ぎた日の想いを家として再び取り戻す事かも知れません。過ぎた時間に再びに触れることで47年前が身近なものとなります。新居には既に長い物語がありそれが今日の上棟に繋がったと想うと、感慨深いものがあります。
今回施主と叔父さんで切り出した木材の多くは桧で柱や桁、梁に使いました。そのほかにも杉板、松板などのストック材があり化粧野地とし、材積に応じて張分けることとしました。電気配線の取り出し位置なども事前に決定できたので、すこぶる段取りの良さ。古瀬棟梁が纏める今回の大工チームは最強ですね!
柱落としとなる隅柱の蟻桟仕口。土台下端とゾロ納まりとなります。
柱起こしに10分、桁取り付けが更に30分というハイスピード!
あまりの段取りの良さに興奮して見入ってしまいました。プレカット仕口が甘くならないようにお願いしていましたが、かけやでしっかり打ち込んで組み上がる様子に満足。
登り梁仕口はプレカット、垂木掛けは手刻み。
支給野地板は12㎜厚で本実加工して頂きました。幅広の松板は反り止め加工となっています。
裏面には取り付け位置、張り出し順などが書かれていて感心しきりです!
野地板の張り出し調整材。施工図段階で野地板の割り付けまで打合せして頂けるのは、池富現場監督だけですね!
感謝です☆